20090403

A BUNCH OF CUTS | i think music

去年 06S の7周年に dBridge が来日した時に、Markus Intalex と協力して A Bunch of Cuts という mp3 ダウンロードストアを作り始めていると教えてくれて、その後チェックするようになった。ここは所謂メインストリームの、ハードでアッパーな D'N'B とは違う、シンプルでディープなサウンドを中心に発表するレーベルがそろっていて非常に興味深い。EXIT、31、SOUL:R、SIGNATURE と、成熟した良質なレーベルが軒を連ねているこのサイトは D'N'B の新たな地平を見据えたプロデューサー達のプレゼンテーションの場でもある。彼らの作り出すトラックは確実に新しいプロデューサー達に影響を与え、静かにムーブメントを動かし始めていた。D'N'B シーンの多様化、細分化が進む中で、新しい方向性をダウンロードストアをブランディングする事で確立している。iTune store や Beatport でなく、Drum'n'Bass Arena でもない、彼らが協力して作ったこの A Bunch of Cuts に人を集め、ダウンロードしてもらう事を目指しているようだ。そこにはインターネットリテラシーの高い環境に生きるファンとアーティストの理想的な関係があるように思う。アーティスト自身が運営するお店で、直に作品を買う事が出来て、ディストリビューションのマージンや、小売店の利益も無い。アーティスト/レーベルとファンは既に MySpace や Facebook などのネットワークで繋がっているから広告費もかからない。コピーが簡単に行われる mp3 をお金を払って買う理由は、もはや、そのアーティストに対するリスペクトなしには考えられない。そう考えると実に時代と環境にフィットしたやり方だし、究極にインディペンデントで出来るデジタルレーベル運営のひとつの答えかもしれない...などと考えていた矢先、DNAudio の mp3 ストアを発見した。レーベルコンピレーションアルバム "HARD TIMES" の発売直前、試聴したくてどこかで聴けないか検索してたら、見たことのある感じのフォーマットのページにたどり着いた。その時にやっと、A Bunch of Cuts i think music のプラットフォームを借りて運営されているんだと、その仕組みに気が付いた。
インターネットの世界には当たり前のように無料のサービスがあって、誰もが何らかの形で利用し、その恩恵をうけている。メールや SNS で情報交換したり、写真や映像をアップロードして友達に見せる事が出来たり、ファイルを共有するためにサーバーも使える。無料で使う事が出来るサービスには、その一連の動きの中に広告やアフィリエイトがあって成立してるのは分かるのだけど、この i think music のサービスには驚いた。最初に 2000 のストアが出来るまでは登録にもお金がかからない。( 2000を過ぎてもマージンの一部を先に払い込むだけで一定以上のダウンロードが成されれば無料となる )ダウンロードでお金が動いた時にのみ 5% のマージンを払うだけ。彼らにとっては 1 曲が 1000 ダウンロードされようが、1000曲 が 1 ダウンロードづつされようが同じ事なのだからいろんなアーティストがスタートラインに立つ事が出来る。そんな条件が D'N'B のシーンにフィットしたのか C.I.A.INNERGROUND など多くのレーベルがストアを立ち上げ、日本を代表するプロデューサーである MAKOTO のレーベル HE も始まっている。MySpace、Facebook、twitter、YouTube、Picasa、Gmail、Bloger などをすでに使っているけど、この i think music のサービスを使って 06S RECORDS DIGITAL を作りファンとの直接のやり取りを出来たら良いなと思ってる。


06s の 7 周年に参加してくれた MAKOTO から dBridge へ変わる瞬間。SP:MC がナビゲート。
dBridge の一曲目は SURVIVAL の "Walk on by" Exit Records から13曲入りのフルアルバムがリリースされる予定で、その内容も素晴らしい!