20111213

SNS | facebook


日本でもすっかり定着して来た facebook 。日本国内の利用者数は2011年9月末に1,000万人を超えたと発表された。2010年の時点で約300万人といわれていたから、ざっと9ヶ月で3倍以上に増えた計算だ。mixi や twitter などの SNS が先に広まっていた日本は、facebook 後進国と言われていたけれど、'11年の1月に公開された映画ソーシャル・ネットワーク」が facebook の普及を加速させた要因のひとつにあげられるように思う。ただし、映画の内容自体は  facebook および、創始者のマーク・ザッカーバーグ(写真上)に対して、決して肯定的な描き方をしていなかった訳で、映画を観た人達が「 facebook って面白そう? 」と思ってアカウントを作ったかというと、そうでもなさそうだ。むしろ、この映画がアカデミー賞にノミネートされたりした事が、テレビや雑誌などで取り上げられ話題になった事のほうが、普及を促した直接の要因なのかもしれない。映画としての完成度はセブン」や「ファイト・クラブ」のデヴィッド・フィンチャー監督の作品だけあって、カメラワークや脚本、VFXにいたるまで、素晴らしい出来映え。ストーリーはハーバード大学在学中の19歳の主人公、マーク・ザッカーバーグがいかにして facebook を作っていくか? という側面と、その過程で繰り広げられていく友情や裏切りといった人間関係を描いていくのだが、製作に関して、あまりに頑にコントロールを強いるザッカーバーグを外して進行したようで、実際のエピソードあくまでもドラマとして作られている部分が織り交ぜられて完成されている。虚実入り乱れたストーリーを、裁判前の質疑に、回想が織り交ぜられるように進む語り口で、観客を陪審員のような気分にさせていくような構成は絶妙facebook にすっかりはまっている人は DVD も既に発売されているので観てみると違った角度から facebook を楽しめるかもしれない。(あるいは facebook およびザッカーバーグが嫌いになるかもしれない)
ちなみにザッカーバーグ本人は、この映画に関して「僕と似ているのは服の趣味だけだ」と酷評しているから、映画を信じるか、彼の言葉を信じるかは観客に委ねられている。ただ、この映画の世界的な成功によってユーザー数は8億人に達し、彼の個人資産は175億ドル(1兆3,600億円)を超えた事は事実のようだ。




ついでにもうひとつ思い出したので、映画 "CATFISH" の事も紹介しておこう。こちらは実際の facebook のユーザーによるドキュメンタリーでスタッフはたったの2人。主人公の Nev が facebook で女の子から一通のメッセージを受け取る事から始まる。会った事のない相手と何度かやり取りをして行くうちに、徐々に意気投合して行くのだけれど、それと同時になんだか怪しいような事も起こっていて... ついには会いたい気持ちと、確かめたい気持ちが抑えられなくなって、実際に遭いに行く。その行動の一部始終をカメラマンが捉えるのだけど、結末が全くもって、誰にも見えないまま進行する様子は、独特の緊張感に溢れていて、ドキュメンタリー映画の面白さを再認識させてくれるとともに、結末は意外なところに向かって行く。ちなみに facebook から出来た映画だけあって、オフィシャルの facebook ページ も充実しているし、監督兼主人公も実在している。
facebook という史上最大の SNS を作った人間を描いた大作と facebook から生まれた、主人公とカメラマンのたった2人で作ったドキュメンタリー。映画としてのスケール感は全く違うけれど、どちらも時代を象徴するような映画でとても面白い作品だった。