20090212

dBridge | The Gemini Principle

初めてのレヴューを書くにあたって、迷う事なくこの The Gemini Principle を選ぼうと思う。個人的には 2008 年の ベストアルバム。今となっては元 BAD COMPANY の肩書きも必要がないほど、ソロ・プロデューサーとしてのキャリアを積み重ねて来た dBridge 待望の 1st アルバムなのだから間違いようがない。

dBridge というミュージシャンについて、知っている範囲で紹介をしておこう。’90 年代中盤、UK の DRUM'N'BASS (以下D'N'B)シーンの中心で、サイバーかつハードなサウンドを打ち出し数々のアンセムを放った伝説のスーパーグループ BAD COMPANY (以下 BC )のメンバーであった事には触れたが、その4人のメンバーの中でも、曲作りにおいて重要なポジションを担っていたであろう事は、後のソロ作品のクオリティの高さが証明してくれる事になる。BC 結成以前は MALDINI とFUTURE FORCES というユニットを組んで活動をしていた。あまりに革新的なサウンドを構築したため、リリースするレーベルが見当たらず、彼らをデビューさせるべく作られたレーベルが RENEGADE HARDWARE だというのは有名な話だ。その FUTURE FORCES に FRESH & VEGAS として活動していた二人が加わって BC が結成され、"Inside the Machine""Digital Nation" と立て続けに時代を前に押し進めるような作品を発表。先鋭的でありながらダンスフロアをロックするチューンの数々が、D'N'B シーンの一つの時代を作ったと言っても過言ではない。BC の最後のアルバム、"Shot Down on Safari" を制作する頃には FRESH の才能が完全に開花し、プロジェクトリーダーとして BC を引っ張っていた。この頃 dBridge は実兄である Steve とのプロジェクト Spacek に参加し、アルバム"Vintage Hi-Tech" の制作や JAZZ CAFE でのライブに参加していて、BC のアルバムには 一曲しかクレジットされていない。BC は正式に解散したのではないが、プロデュース面において中心になっていた FRESH が FRESH BC というソロ名義の作品や、他のプロデューサー達との共作を様々なレーベルからリリースし、その頃から FRESH と他の3人のメンバーとの間に距離が出来て行く。そんなチーム不和の空気の中、BC のメンバーの一人、 VEGAS dBridge の共作 " True Romance " が GOLDIE の老舗レーベル METALHEADZ からリリースされた。この曲は 5年以上経った今でも ANDY CDJ HYPEDJ FRICTION はもちろん、メロディアスでリキッドよりの選曲を好む FABIODJ MARKY にもプレイされ続ける、まさにクラッシックとなった。丁度その頃に D'N'B 日本代表 として DJ AKi が海外からブッキングされ始める。 BRYAN G の主宰するパーティ、Movement に参加するためにロンドンに行った DJ AKi に同行した際、幸運にも BC のスタジオを訪れる機会に恵まれたのだが、2003 年の 10 月の時点で BC は MALDINI & VEGASdBridge の3人になっていて、 FRESH が スタジオに顔を出す事は無かった。この時すでに dBridge は自らの音楽の方向性の変化を示唆する発言をしている。曰く、 LTJ BUKEM の曲の中でもシンプルでメロディの抑えめな曲や MARCUS INTALEX がソロになって作るようになったダビーでミニマルな曲に未来を感じている、と。同時に、実兄の Steve とのプロジェクト Spacek に参加した事もその後の作品に大きく影響を与えたようだ。15歳の頃、兄の影響で音楽を始めたと、常にインスピレーションを与えてくれる存在で、プロジェクトを一緒にする事の意味は、とても大きいと、語っていた。この流れが dBridgeMALDINI & VEGAS の間にも距離を作ってしまい、ロンドンからブリストルに移住すると、自らのレーベルを立ち上げ、以後 BC の作品に参加する事はなかった。

自らのレーベル、 EXIT RECORDS からリリースされたトラックのスタイルは、音数が減って、シンプルだけど大きな空間を表現し始める。丁寧に配置されたソリッドなドラムと、彼の体躯のように太く丸いベースを基本に構成されているが、時にそのベースはうねりをあげ、ストリングスや SE が空間を飛び交う。BC 時代のトラックとは明らかに違う、新しいアプローチを D'N'B シーンに示した。そんな dBridge の周りには、共鳴するようにプロデューサー達が集まってくる。EXITVS. というシリーズでは、CARIBRECOMMIX、CONCORD DOWN、D-KAY、A.I.FIERCE などと積極的なコラボレーションを行うことで完全に新しい方向性とスタイルを確立していった。さらに実兄 Steve との新しいプロジェクト、BLACK POCKET でもその手腕を発揮する。CARIBRE dBridge のトラックと Steve Spacek のヴォーカルのコンビネーションは D'N'B シーンの成熟を感じさせると同時に、 BBC RADIO ONE のMary Anne Hobbs の番組にも取り上げられるなど、シーンの外からの注目も集めた。
その一方で、新しくロンドンに INSTRA:MENTAL というユニットと共同でスタジオを構築する。INSTRA:MENTAL の持つ未来的で実験的なサウンドは dBridge にも新たな刺激を与えていて、お互いに良い影響を与えあっているようだ。去年来日した際、共演した SP:MC dBridgeINSTRA:MENTAL を、まるで新しいグループを結成したかのように一緒に曲を作っている、と語っていた。

ここまでの彼のキャリアは 15 年を超えていて、様々な楽曲やプロジェクトに参加しており、ソロアルバムは、もっと早い段階で出いてもおかしくなかったけれど( FRESH BC の "Escape from Planet Monday" は '05年)じっくりとシーンの成熟 (=現実)、と自分の描きたい音楽 (=理想) の差を時間をかけて埋めてきたようにも思える。'03年の時点で話してくれた事が予言であったかのように、彼のすぐ横には MARCUS INTALEXCARIBRE などの実力派のベテランがいて、 GOLDIEFABIOSHY FXBRYAN G などの大御所たちにも信頼され、COMMIXINSTRA:MENTAL などの若いプロデューサー達に大きな影響を与えるポジションにいて、そこには確実に BC 時代とは違う dBridge という一人のミュージシャンの存在が確立している。だからこそ、待望の 1st アルバムと言い切れるし、音楽そのものの内容に関して、細かい事は何も言うべき事はない。ただリリースの形態や収録曲について、特筆すべき点だけいくつか補足するべきだろう。

"The Gemini Principle" というシリーズは、最初にアナログ盤で 12inch EP の"The Gemini Principle I" "The Gemini Principle II" の 2 枚、計 4 曲が発表された。この 4 曲はアルバムに収録されていないので、先行シングルカットという訳ではなく、フロアでかけるための EP であり、アルバムへの期待感を盛り上げてくれるものでもあった。次にアナログ盤の LP が 4 枚組のカラーヴァイナル(とはいってもブラックとホワイトが 2 枚ずつ)で計 8 曲、発表された。
ただし、その内の2曲 "A Long Distance" "On My Mind" は CD には収録されていない。そして13曲入りの CD のアルバムがリリース、2 曲のインタールードを含む 7 曲が新たに発表され、CD一枚を通して聴けるように流れが出来ている。最後にダウンロードで発売されるのだが、Beatport でも iTune store なく MARCUS INTALEXCARIBRE などと共同で運営するA Bunch of Cuts の方でのみ販売されている。ダウンロード全盛の時代のリリースのあり方を良く考えた結果なのだろう。最終的にはプロジェクト全体で 19 曲リリースした事になるが、リリース形態が決定する前の段階ではもう1 曲あった。未発表になったのは "Late 08" という曲で SOUNDCLOUD のページでフリーダウンロードをさせてくれているので DJ やマニアの方はコンプリートしてみてはどうか。また CD にインタールードとして収録された"Desire Line"は本来 "Almost Home" になる予定だったのにロンドンの地下鉄の音声を使う許可が下りずに収録出来なかったと書いている。
CD とアルバムダウンロードの13 曲、(+6曲)収録されたトラックのほとんどが彼自身によるプロダクションで、ゲストとして参加しているのは、スタジオメイトである INSTRA:MENTALEXITVS. シリーズ以降コンスタントに共作している CARIBRE の 2 組だけ。そういった意味でもかなり純度の高い、 dBridge のこれまでの音楽的なキャリアが凝縮された一つのサウンドトラックとして、鑑賞するのが正しそうだ。それは、まるで映像のない映画を見てるようで、聴覚で情景を眺めるような、そこにはロンドンの曇った空と、男の哀愁を感じさせる、今まで感じた事のない世界観が DRUM'N'BASS によって表現されている。兄の Steve Spacek がヴォーカルで参加するのでは、と予想していたのだが、 dBridge 自らが歌う、とういうかたちで影響が現れた。これは自然な流れかもしれない。歌詞、メロディ、声、トラックと全てを一人で仕上げる事の出来るミュージシャンとして、新たな次元に踏み込んだのだと思う。(Dat Music II に収録された "On Your Mind" や、これからリリースされる "Wonder Where" という曲でも歌っているのだが、どちらも素晴らしい)

最後にアートワークについて。上の写真はまるで日本盤のようだけど UK からの輸入盤だ。来日すると渋谷のレコード店を何件も一人で歩き回るほどだから、日本の CD についている帯のデザインを気に入ったのかも知れない。レーベルのロゴも"出口"という漢字が使われていて、彼の親日ぶりが伺える。アナログ盤のアルバムのアートワークもシンプルで、イラストレーションを面白く使った、よく考えられた仕上がりになっている。アナログは残念ながら完売していると思うが、もしも見かける機会があったら手に取ってみて欲しいし、CD でもダウンロードでも彼の考えと音楽が共にそこにある事には変わりない。

20090211

Amazon Associates Program

Amazon のアソシエイツ・プログラムに登録してみた。実弟の書いている Blog logged reviews を参考に色々と真似をしてみているところなんだけど仕組みを知って更に興味が湧いた。さっそくアフィリエイトについて体験しながら学んでみようと思う。お金が目的ではないけれど、もしも自分が紹介したものが売れて、売った人も買った人も喜んでもらえるなら嬉しい。

20090210

Google AdSense

Google AdSense に登録してみた。WOMB ADVENTURE '08 のプロモーション・プランを考えた時に AdWords を設定して興味を持っていたから。どんな Words からどんな広告がピックアップされて出てくるのか? 関連性のある良い情報に巡り会えたり、笑ってしまうような広告が出て来たり。

追記
2009 年の 2 月の成績を公開してみよう。まだ Blog を作ってる途中で告知を全くしてないけど、ごく近しい人がみてくれた数が 76 。そのうち 2 人が Google の Ad をクリックしてくれた、その率が 2.63% 。これで US $0.54 の収益、このペースで行くと 1000 カウント行ったときには US $7.06 の収益が見込めますよっていうのが eCPM らしい。CTR はクリック率。知り合いに告知してカウントそのものを増やす、CTR を上げる為に広告のフォーマットを変えてみる。この二つを実行してみよう。ちなみにかなり遠い道のりだけど$100 貯まると支払ってくれるらしい。お金そのものより実際に受け取る経験をしてみたい。

2009 02 2/76 CTR 2.63% eCPM US $7.06 US $0.54

20090204

9B + Blog = 9Blog

2001 年 1 月、9B (キュービー)という名のデザインオフィスを旗揚げし、今年 2009 年は 9 年目を迎える。Web の事を学ぶためにも Blog を始めてみようと思う。デザインは可能な限りシンプルに。文章は出来るだけストレートに分かりやすく、でもマナーはわきまえて。ルールはそれだけ。好きな時に、好きな事を、取り上げていくつもり。