20090310

DVJ AKi | AUDIOVISUAL SHOWCASE

2009 年 3 月 7 日、渋谷のクラブ WOMB で行われたイベント 06S。テクノロジーによって新たな表現の可能性を感じさせた瞬間だった。日本の DRUM'N'BASS シーンを牽引する 06S のレジデントDJ、DJ AKi 、この日は DVD の映像と音をミックスする DVJ AKi として特設ブースに立った。

使用する機材は PIONEERDVJ 1000SVM 1000、それだけで映像と音 = AudioVisual をまるでマジシャンのように一人で操る。そのパフォーマンスはオーディエンスを熱狂させ、DJ や VJ 達を唸らせた。ライブの最後は WOMB の歴史の中でも最高レベルの盛り上がりを見せた。ほとんどの人が視覚と聴覚をジャックされ体感レベルで満足していたようだ。それと同時に、その場に立ち会えた人の中でいったい何人が彼のプレイを理解出来たのだろう?とも思い、記憶に鮮明なうちに解説しておくことにした。

イントロの 4 分間は、DJ AKi + TAKEO の新曲 "The Way I Feel" から。ドンッというキックの音にピカッと白く光る映像をつけ、チッというハットの音にはリング状に赤く光る映像をつけ、"The Way I Feel" の声にあわせて白いタイポグラフィを動かす映像をつける。その 3 枚の DVD をいつもより低いステージで、オーディエンスの目の前でライブミックスする。ミキサーの SVM 1000 は音と映像に同時にエフェクトをかける事が可能で、音がエコーするように映像もエコーし、ディレイをかければ映像にもディレイがかかる。3 バンドある EQ のつまみをひねれば音も色も同時に変わる。それらの機能を使いこなし即興で組むようにライブ(=リアルタイム)で表現。イメージとしてはロケットが打ち上げられるようなロケットダッシュ。ディレイのかかった声が空間にフェイドアウトして宇宙空間の映像に突入。そこで ES9 AudioVisual Live のタイトルが出る、ES9 は DJ AKi とプロデューサーの TAKEOYUUKi MC (今回はDVDで出演) の3人のチームだ。ここからは ES9 の "All About Change"から"Free Your Mind"にいって"Heavenly Star" ES9 Remix に流れていく。"All About Change" はパーツごとに分けられた4枚の DVD をミックス。各パーツを抜き差ししながら構成していく。他の 2 曲は所謂 PV のような作品をミックスしているが、途中に、シャキーンッという音とともにタイポグラフィ映像に切れ目が入るような SE の DVD と、YUUKi MC の DVD をミックス。その間も EQ で色を調整したり、エフェクターをかけたりと、映像と音のミックスでオーディエンスを盛り上げていく。パフォーマンスに対する理解度の高い、低い、は関係なしに、熱狂と賞賛の拍手を浴びたのだから DVJ AKi のチャレンジは成功だったといっていいだろう。さらに、その場にいたクリエーター達はダンスミュージックの未来と AudioVisual の可能性を感じられたに違いない。

DVJ AKi は 今回一人で映像と音楽を操ったが、彼のポジションは F1 で例えるならハンドルを握るドライバーであって、ピットには信頼の出来るクルーがいる。曲を作る ES9 の TAKEOYUUKi、そして映像は 06S に参加してきた VJ陣の、NUMAN、YU MARUNO(Glamoove) 、CHA2、EYE LINK。彼らとの出会いが無ければ映像制作どころか AudioVisual のセットを作るという考えにすら及ばなかったはずだ。機材は PIONEER の全面バックアップ、DJ AKi も開発段階からモニタリングし協力している。マーケットが全く見えない所での開発(=開拓)はリスペクトに値するし、新しい機材が新しい表現を可能にして来たことは歴史を見てもあきらかだ。




*デジカメのスペックの限界なのか徐々に音声がズレてしまっている



イベントのラスト、アンコールで ES9 + CW "Where I Wanna Be" の DVD をかけた。参加してくれた Cleveland Watkiss もテクノロジーや映像表現に理解が高く、快く制作に参加してくれた一人だ。そしてイベントに集まってくれるオーディエンスとの感覚の共有とあたたかいサポートがあってこそ、シーンに未来があると言えるだろう。 Keep on Dancing, Keep on Bouncing!!